東京高等裁判所 昭和37年(ネ)2633号 判決
本件建物が斎藤清の所有であつて、控訴人がその代理人としてこれを新東京木材商業協同組合に金千万円の共同抵当権を設定し、抵当権の実行により被控訴人が競落するや、控訴人はこれを阻害し不法の利得を得ることを目的とし、自己において本件建物敷地の賃借権を有せずこれをその夫斎藤清に転貸していないにもかかわらず、斎藤清と相計り同人に対し賃料不払を理由として東京地方裁判所昭和三十五年(ワ)第二、一七一号事件の訴訟を提起し斎藤清も控訴人と通謀して同事実を認め、本件建物収去土地明渡の勝訴判決を受け、被控訴人に対し承継執行文を受け、強制執行に着手したことは、原審認定のとおりである。
右訴訟は原被告間に真実の争訟が存せず、単に判決を利用して第三者の権利を侵害し、自己において不法の利得を得ることを目的とするもので、かかる判決を債務名義として第三者に対し強制執行することは不法行為に属すること勿論であつて、判決を執行すること自体が不法な場合、権利の乱用または信義則違反として、第三者は請求異議の訴により口頭弁論終結後の事由に限定されずに異議の事由を主張し得るものと解する。
(千種 渡辺一 太田)